第十二話「さよなら、レイ」
碇ユイは、どこか宗教的な、荘厳な音楽が鳴り響く夢から目を覚ました。薄暗い。傍らの夫は相変わらず間抜けな顔をして眠っていた。眼鏡を外すと、ひどく年を取ったように見えだした。白髪も見つけた。あなただけが頼りよ、彼女はそう思ってみる。そんな風に思…
錬金術師ゲンドウドラゴン,ホムンクルス,女神,悪魔,闇の王子
第八話「魔法使いの弟子」
魔法使いの卵、碇シンジの朝は早い、と書き出すと第七話の書き出しと似たようなものになってしまうが、早いのだからしょうがない。午前六時、枕元の目覚まし時計が鳴る。まず起きるのは勉強机の上に置かれたガラス瓶の中の小さな妖精、レイだった。彼女は赤い…
錬金術師ゲンドウホムンクルス,魔法使い,魔法少女
第五話「クリスマスのまぼろし」
アスカは日本の中学校が好きになった。ダサイ制服もおもしろかったし、担任の年寄りの先生の独特なものの言い方も気に入った。あの世界に名だたる、シュールな『コーソク』は夢中になった。アスカは全校でいちばん校則を喜んで守る女生徒かもしれなかった。彼…
錬金術師ゲンドウクリスマス,ホムンクルス
第四話「台風がやってきた! (後編)」
土曜日の明け方。ユイは、風の音で目を覚ました。隣に夫のゲンドウが寝ている。いぎたなくいびきをかいていた。薄い色の付いた眼鏡を外し、口をうっすらと開けている。寝顔を見ていると、やせっぽちの、ひょろりとした青年の面影がある。ゆ、ユイさん、今度須…
錬金術師ゲンドウホムンクルス,錬金術師ゲンドウ,魔法少女
第三話「台風がやってきた! (前編)」
碇ゲンドウは錬金術師である。彼は久しぶりにその本業である金作りにいそしんでいた。彼の仕事場は自宅である木造二階建ての一階の座敷を改造した実験室だった。畳が外されているのはもちろんのこと、部屋の中央にデンと据え付けられた「反応炉」の部分は床さ…
錬金術師ゲンドウホムンクルス,錬金術師ゲンドウ,魔法少女